お腹を出すワンちゃんは服従している?

ワンちゃんと遊んでいる時や、他の飼い主さんが愛犬と遊んでいる時など、
ワンちゃんがお腹を見せている様子を見た事が無いでしょうか?
急所のひとつであるお腹を見せることは、
昔から服従を示す行動と考えられており、
これを重視するトレーニングもあるのだそうです。
つまり、ワンちゃんに無理やりお腹を向けさせ、
飼い主さんやトレーナーさんの優位を教えるということですね。
しかし、近年では、このお腹を見せる行動「ロールオーバー」は、
けして服従だけの意味では無いことが明らかになっているようです。

 

このロールオーバーが服従を意味するという説は、
動物行動学の生みの親であるコンラート・ローレンツ博士が、
「犬が相手にロールオーバーをすると相手は攻撃を止める。
この行動は防衛的な行動である。」
という分析と観察による結果を著したものが発端で、
その後の深い解釈として、
「相手が攻撃を完全に止めるまでは、
ロールオーバーを続けていなければならない」
としたそうです。
つまり勝者と敗者を決定づけるもので、
支配する人と、服従する人の構図になるという話です。

 

そうした解釈から、訓練として、
ロールオーバーの姿勢をとらせることが用いられるのだそうです。
しかし、強制的にロールオーバーの姿勢をとらされた仔は、
服従というよりは、不安や恐怖を感じ、ストレスを溜め、
追い詰められてしまうといいます。
長い間、訓練としてであってもロールオーバーの姿勢をとらされると、
自分は何も出来ないと「学習性無力感」というものを感じ始め、
自力で苦痛から抜け出せなくなるそうです。
丁度、人間でも同じように、
学校のいじめや会社での不当な扱い、監禁といった犯罪などで、
学習性無力感を感じてしまうことがあるそうですね。
ワンちゃんの場合、
これの治療には多くの時間と費用がかかるとのことで、
ロールオーバーを強制する方法は、
きわめてリスクが高いことだそうです。

 

そこで思い出していただきたいのが、冒頭にも書きました通り、
通常我々が目にするのは、ワンちゃん同士や他の動物たちと遊んでいる時に、
ごろんとお腹を見せているのを目にするのがほとんどではないでしょうか。
つまり、遊びの中でのロールオーバーであり、
「もう(あくまで遊びですが)攻撃をやめて!」という意味になり、
相手が攻撃を止めると、起き上がって今度は自分が攻撃する側になる、
といったことを繰り返しているのですね。
相手の行動を止めるためや、
遊びに誘う時に、お腹をみせるのだそうです。

 

以前の記事にも書きましたが、
ワンちゃんと遊ぶ時は必ず勝たないといけない、
というのも、古いトレーニングの考え方のひとつでした。
私達が当たり前だと感じていることでも、
時と共に、違う解釈や、新たな発見があるものです。
日頃から新しい知識を仕入れるようにしたいものですね。

 

 

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元記事:「わんちゃんホンポ」
https://wanchan.jp/osusume/detail/7230