おかげ参りのワンちゃんたち

近年、ペットブームと言われ、
様々な時間をペットと一緒に過ごす飼い主さんが増えてきました。
これは流行の一言で済ませられることでなく、
ペットに対する世間の見方が、大きく変わってきたことも大きいと思います。

 

流行は古今東西問わず、世界の色々な場所でみられました。
それは日本でも同様です。
江戸時代の日本は、世界的に見ても安定した時代であり、
飢饉や疫病、災害などはあったものの、人々は平和な時間を過ごしていました。
そんな中で流行したもののひとつとして「お伊勢参り」があります。

 

現在で言う三重県にある伊勢神宮へ詣でることは、人々の憧れであり、
一生に一度は行ってみたいという場所だったのです。
多くの人々が伊勢神宮へ参拝し、そのことは「おかげ参り」と呼ばれました。
300万から500万人が参拝した年もあったそうです。
しかし、江戸から見れば400km以上も距離があり、
そこを何日もかけて旅をしなければいけません。
仕事を休んででも参拝する人もいましたが、普通の人には難しいことでした。

 

そこで誰が考えたのか、自分の代わりに愛犬に詣でてもらおう、
と考える人があらわれました。
これが「おかげ犬」「おかげ参り犬」です。
ワンちゃんたちは、途中で餌をもらうためのお金と、
伊勢神宮を参る旨が書かれた書状を、風呂敷などでくくられて、
お伊勢参りをする人に同行させてもらったのでした。
おかげ犬たちは、道中かわいがられたそうで、
餌をくれる人やお金を補充してくれる人、
宿泊させてくれる人などもいたそうです。
なんでも、同行者をつけずに、
犬だけでお参りに向かわせたという話もあるのだとか。

 

おかげ犬は、お参りの証明として、
お札と奉納金の受領書持って帰ってきたそうです。
この奇跡のようなおかげ参りは、
当時の人々からも奇異に見られていたようですね。
ですが、恐らくはどんな犬でも出来たことではありません。
大切に育てられた愛犬だからこそ、任せられたことであります。
そして、大切な愛犬だからこそ、旅に出すことへの葛藤もあったでしょう。
もっと言えば、神域である神社の、それも総本山へと
穢れの対象とされる犬を使いにやること自体が、
考えづらいことだったはずです。

 

ただそんなことも気にならないほど「お伊勢さん」の
威光を信じ、愛犬を守ってくれると考えていたのかもしれません。
そして、一緒に同行させてくれる人や、
道中の人々のやさしさも信じられていたのでしょう。
おかげ犬は、奇跡のような出来事ではありますが、
江戸時代の気風や考え方が現れた、流行とも言えるのではないでしょうか。

 

 

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元記事:「ペットスマイルニュース」
http://psnews.jp/dog/p/29874/